間違えだらけのAI(エーアイ)というテーマでAIについてシリーズで解説していきます。
今回は「シンギュラリティ(技術的特異点)は本当に来るのか?」についてみていきます。
シンギュラリティ(技術的特異点)とはAI(人工知能)が人間の能力を超える地点という意味になります。
AIがチェスの世界チャンピオンに勝ったとか、プロ棋士が囲碁のゲームソフトに負けたといったニュースを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
こういった報道をもって近い将来、シンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるだろうと、語られることがあります。
これは大きな誤解です。将棋ソフトがプロ棋士に勝つこととAIが人間の能力を超えることとはまったく別次元の話になります。
忘れてはいけないのはAI(人工知能)はコンピュータであり、コンピュータは計算機であるということ。
計算機は計算しかできないのです。
AI(人工知能)が人間を超えるためには、少なくとも人間の知的活動すべてが数式で表現できている必要があります。
現代数学が飛躍的に進歩したといえ、まだまだ人間の知的活動を数理モデルに落とし込むところまで至っておりません。
コンピュータの処理能力やアルゴリズムの問題ではなく、もっとベースにある数学の限界に目を向ける必要があるのです。
人間の心をすべて数式で表すことがどれほど途方もないことか、容易に想像がつくと思います。
シンギュラリティ(技術的特異点)というのはそれだけ途方もない世界の話になります。
しかし、画像認識や音声認識の世界では人間の処理能力を上回っている分野もあります。人間の視覚、聴覚、嗅覚、味覚といったそれぞれの分野でAI(人工知能)の研究が進み近い将来、人間のようにふるまえるAI(人工知能)ができる日がくるかもしれません。
一方、人間の心の部分については我々、人間自身にもわからないところが多くあるため、そう簡単にはシンギュラリティ(技術的特異点)は訪れないということになります。