AIガイドライン、「人間中心」など10原則を年内決定方針-【読売新聞】

2023/11/08
テクノロ通信:

AIガイドライン 年内に方針決定



政府がAI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)の原案を発表しました。
全ての事業者が共通して考慮すべき指針として「公平性」「透明性」などの10原則を掲げたのが特徴で、有識者会議「AI戦略会議」での議論を経て、年末までに決定するそうです。


原案は、7日の同会議で非公式に提示された。先進7か国(G7)は10月末、知的財産権の保護など、生成AIの開発者を対象とした国際行動規範について合意している。ガイドラインは、規範の内容を国内で実践するためのものだ。


 原案によると、ガイドラインの対象は、省庁などの公的機関を含め、事業としてAIを利用する全ての者とした。事業に直接使わない利用者やデータ提供者などは対象外としている。


 10原則の冒頭には「人間中心」の原則を挙げ、事業者に対し、「個人の尊厳を尊重し、生じうる不利益に慎重に留意する」ことや、「人間の意思決定や感情を不当に操作することを目的としたAIの開発・提供は行わない」ことなどを求めた。偽情報対策についても、社会を混乱させるリスクを認識した上で、「必要な対策を講じる」とした。


 「公平性」の原則では、学習データに「許容できないバイアス(偏り)が含まれる可能性」を指摘し、AIが差別を助長しないよう「人間の判断を介在させる利用」を強調した。


 AIによるデータ学習を巡っては、「透明性」の原則で、データ収集の手法に関する情報提供を求めたほか、「説明責任」の原則でも、データの出所などについて「技術的に可能な範囲で追跡可能な状態を確保する」と記した。ただ、AIの学習によって著作権侵害が生じる懸念など具体的な課題は明示されなかった。年末の策定に向けて、実効性の担保が課題となる可能性がある。


 共通の原則のほか、事業者のうちAI開発者向けの留意事項として、開発過程などに関する「第三者が検証できる形での文書化」を盛り込んだ。第三者による認証制度が念頭にあるとみられる。このほか、AIを組み込んだサービスを提供する事業者、AIサービスなどを利用する事業者に向けても留意事項を記した。


AIガイドライン原案の要旨

【共通の指針】
 AIの開発者、提供者、利用者が取り組むべき「7つの原則」と、社会と連携して取り組むことが推奨される「3つの原則」を整理した。

 人間中心の原則に照らし、法の支配、人権、民主主義、多様性、公平公正な社会を尊重するようAIシステムを開発・提供・利用し、憲法や個人情報保護法をはじめとする関連法令、AIに関する既存法令などを順守するとともに、国際的な指針の検討状況についても留意する。


【開発者の留意事項】
 ▽透明性向上のため、AIシステムの開発過程や意思決定に影響を与えるデータ収集、使用されたアルゴリズムなどについて、可能な限り第三者が検証できるような形で文書化する。

 ▽AIが学習するデータについて、機密情報や配慮を要する個人情報、悪意のあるデータが入っていないかに留意する。


【提供者の留意事項】
 ▽可能な範囲で個人情報へのアクセスを管理・制限する仕組みの導入などのプライバシー対策を講じる。

 ▽AIに対する攻撃手法も増えているため、最新のリスクや、それに対応する上で気をつけるべき動向を確認する。脆弱(ぜいじゃく)性の解消に努める。


【利用者の留意事項】
 ▽AIの精度やリスクの程度を理解し、様々なリスク要因を確認した上で利用する。

 ▽公平性が担保されたデータの入力を行い、バイアスに留意して、責任を持ってAIの事業利用判断を行う。
2023/11/08 読売新聞

生成AIの進化が止まりません。全産業に大きな影響を及ぼすAIに法的な縛りをかけるのは致し方ないことなのかもしれません。将来的にはAIが生み出した労働に対して課税を行い、AIによって仕事を奪われた人への補助に使われる時代が到来すると思います。